立正安国論を拝して |
【はじめに】 大聖人の御書の中でも「立正安国論」は、外部の方でもその題号 を耳にしたことのある人は多いと思う。私の記憶によると、たしか 中学校の歴史の資料にも「立正安国論」の名前が掲載されていたと 思う。では「立正安国論」とはどんなものなのかというと、残念な がら学校では教えてくれない。 この御書は、大聖人が当時の国家、鎌倉幕府を相手に折伏する内 容の書状となっている。鎌倉時代は、国土、人身とも荒廃しており その原因は当時の仏教の中心であった念仏にあると断言され、正法 に帰依することが国を安んずることになると述べられている。 ここでは御書講義ではなく、この御書の展開のしかたを見ながら 御書に親しんでもらいたいと思う。故に文々句々に対して云々する つもりもない。御書の学習は、講義録を紐とくなり、先輩幹部に教 わるなりしていただきたい。 「立正安国論」は、主人(大聖人)と旅客(対告衆)との問答形式 で展開されている。先にも述べたが、相手(国家)を折伏する書状 であることから、問答は即、折伏の展開となっている点に注目して 見ていこう。 【本文の展開】 |
旅客来りて嘆いて曰く | 17 | 1 | 世情を嘆きボヤク |
主人の曰く | 17 | 10 | 皆が正法に背き悪法に帰依するからだ |
客の曰く | 17 | 15 | その根拠はなんだ |
主人の曰く | 18 | 2 | 経文を引用し、邪説を信じて正法わきま えないからだと |
客色を作して曰く | 20 | 14 | ややムッとして皆仏教を信じてるのに、 おかしいじゃないか |
主人の喩して曰く | 20 | 18 | 悪い坊主が居るからだ |
客猶憤りて曰く | 21 | 17 | 悪い坊主って誰のことだ |
主人の曰く | 22 | 2 | 悪の根源はズバリ、法然の選択にあると |
客殊に色を作して曰く | 24 | 5 | これまで信じてきた阿弥陀を否定され逆 上して帰ろうとする |
主人咲み止めて曰く | 24 | 16 | わかってない客に対し詳しく説明する |
客聊か和ぎて曰く | 26 | 1 | 賎身分とののしり権威主義的発想で反論 しようとする |
主人の曰く | 26 | 4 | 正法を守る使命感から言っているんだ |
客則ち和ぎて曰く | 26 | 13 | そんなに言うなら現状の災難を消す方法 はあるのか |
主人の曰く | 27 | 1 | 経文を引用され国中の謗法を断つべきだ |
客の曰く | 30 | 8 | 釈迦の言葉に矛盾があるのはなぜだ |
主人の曰く | 30 | 16 | 仏子ではなく謗法が悪いということだ |
客則ち席を避け
襟を刷いて曰く | 31 | 1 | 納得し襟を正す |
主人悦んで曰く | 31 | 7 | 早く正法に帰依しなさい |
客の曰く | 32 | 18 | 私も他の誤りを誡めていくと |
【さいごに】 以上、問答の書き出しを紹介してみた。まさに、折伏している最 中の描写になっている。相手の顔色までもうかがうことができる。 また、怒った相手を、包み込む懐の深さがある。そして、人々を救 済していく慈愛に満ちあふれている。 この「立正安国論」を学習するには難しいように感じる方も多い かも知れないが、大聖人から自分に頂いたお手紙だと思えばわかり やすいのではないだろうか。文々句々にとらわれるのではなく、大 聖人が自分になにを語りかけて下さっているのか、その点を頭の片 隅にでも置いて、拝していきたいと思う。 |