立正安国論を拝して
範囲:17頁〜33頁

【はじめに】

  大聖人の御書の中でも「立正安国論」は、外部の方でもその題号
 を耳にしたことのある人は多いと思う。私の記憶によると、たしか
 中学校の歴史の資料にも「立正安国論」の名前が掲載されていたと
 思う。では「立正安国論」とはどんなものなのかというと、残念な
 がら学校では教えてくれない。
  この御書は、大聖人が当時の国家、鎌倉幕府を相手に折伏する内
 容の書状となっている。鎌倉時代は、国土、人身とも荒廃しており
 その原因は当時の仏教の中心であった念仏にあると断言され、正法
 に帰依することが国を安んずることになると述べられている。
  ここでは御書講義ではなく、この御書の展開のしかたを見ながら
 御書に親しんでもらいたいと思う。故に文々句々に対して云々する
 つもりもない。御書の学習は、講義録を紐とくなり、先輩幹部に教
 わるなりしていただきたい。
 「立正安国論」は、主人(大聖人)と旅客(対告衆)との問答形式
 で展開されている。先にも述べたが、相手(国家)を折伏する書状
 であることから、問答は即、折伏の展開となっている点に注目して
 見ていこう。

【本文の展開】
問答の書き出し
本文要旨の概略
旅客来りて嘆いて曰く17 1世情を嘆きボヤク
主人の曰く     1710皆が正法に背き悪法に帰依するからだ
客の曰く      1715その根拠はなんだ
主人の曰く     18 2経文を引用し、邪説を信じて正法わきま
えないからだと
客色を作して曰く  2014ややムッとして皆仏教を信じてるのに、
おかしいじゃないか
主人の喩して曰く  2018悪い坊主が居るからだ
客猶憤りて曰く   2117悪い坊主って誰のことだ
主人の曰く     22 2悪の根源はズバリ、法然の選択にあると
客殊に色を作して曰く24 5これまで信じてきた阿弥陀を否定され逆
上して帰ろうとする
主人咲み止めて曰く 2416わかってない客に対し詳しく説明する
客聊か和ぎて曰く  26 1賎身分とののしり権威主義的発想で反論
しようとする
主人の曰く     26 4正法を守る使命感から言っているんだ
客則ち和ぎて曰く  2613そんなに言うなら現状の災難を消す方法
はあるのか
主人の曰く     27 1経文を引用され国中の謗法を断つべきだ
客の曰く      30 8釈迦の言葉に矛盾があるのはなぜだ
主人の曰く     3016仏子ではなく謗法が悪いということだ
客則ち席を避け
 襟を刷いて曰く  
31 1納得し襟を正す
主人悦んで曰く   31 7早く正法に帰依しなさい
客の曰く      3218私も他の誤りを誡めていくと

【さいごに】

  以上、問答の書き出しを紹介してみた。まさに、折伏している最
 中の描写になっている。相手の顔色までもうかがうことができる。
 また、怒った相手を、包み込む懐の深さがある。そして、人々を救
 済していく慈愛に満ちあふれている。
  この「立正安国論」を学習するには難しいように感じる方も多い
 かも知れないが、大聖人から自分に頂いたお手紙だと思えばわかり
 やすいのではないだろうか。文々句々にとらわれるのではなく、大
 聖人が自分になにを語りかけて下さっているのか、その点を頭の片
 隅にでも置いて、拝していきたいと思う。


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