法華初心成仏抄
557頁6行〜557頁10行

【本文】

  我が己心の妙法蓮華経を本尊とあがめ奉りて我が己心中の仏性・
 南無妙法蓮華経とよびよばれて顕れ給う処を仏とは云うなり、譬え
 ば籠の中の鳥なけば空とぶ鳥のよばれて集まるが如し、空とぶ鳥の
 集まれば籠の中の鳥も出でんとするが如し口に妙法をよび奉れば我
 が身の仏性もよばれて必ず顕れ給ふ、梵王・帝釈の仏性はよばれて
 我等を守り給ふ、仏菩薩の仏性はよばれて悦び給ふ

【内容】

  この御書は、建治3年3月、身延の地で、当時静岡県沼津市に住
 んでいた妙法尼という婦人部の方に与えられたお手紙です。この妙
 法尼さんは、夫や兄に先立たれながらも純真な信心を貫かれた方で
 現在の婦人部のみなさんのように教養溢れる方と言われています。
  今回の範囲では、「本尊」と「題目」の関係を端的に教えられて
 おり、唱題によって顕した生命が仏の姿であると仰せです。また、
 自身の仏の生命のみならず、自身を取り巻く環境の仏性をも呼び顕
 すことができると仰せになっています。
  例えば、誰かが、私の名前を呼んだなら、私はその呼ばれた方向
 へ振り向きます。なにかな?と思って生命もそちらに向かいます。
 同じように、自分自身の仏の生命も、呼ばれれば返事くらいはして
 くれます。(笑) どうやって呼ぶのかというと、御書に「己心の
 妙法蓮華経を本尊と」云々とあるように、仏性の名前が「妙法蓮華
 経」なので、南無妙法蓮華経と唱題をすることが、仏を呼び顕すと
 いうことになります。また、その唱題によって梵天・帝釈など諸天
 の仏性も呼び顕されると仰せになっていますので、自身を取りまく
 環境すべてが自分を守ってくれる働きになります。また依正不二の
 原理から考えると、守ってもらうだけではなく、環境をも変革でき
 るということになります。
  広宣流布のため、自身の宿命転換のため、朗々とお題目を唱えて
 生命力を満々と涌かせて、勝利の人生を送っていきましょう。

               2003/06/02(月)  どん兵衛の館にて


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