高橋入道殿御返事
1462頁16〜17行

【本文】

  法華経は閻浮提人病之良薬とこそとかれて候へ、閻浮の内の人は
 病の身なり法華経の薬あり、三事すでに相応しぬ一身いかでかたす
 からざるべき、但し御疑のわたり候はんをば力をよばず

【内容】

  高橋入道さんは、日興上人の叔母さんの旦那さんで、富士方面の
 折伏の中心的な方で、今で言えば支部長あるいは地区部長でしょう
 か。拠点として会場も提供してくださっていた方です。この御書は
 高橋入道さんが重い病気になってしまい、建治元年7月、大聖人が
 激励のために認められ、日興上人に託されたお手紙です。
  今回の範囲では、まず、法華経薬王品第23の「此の経は則ち為
 れ閻浮提の人の病の良薬なり」の一節を引かれ激励されています。
 「健康やから私には関係ない」って思っておられる方もいるかも知
 れませんが、仏法でいう「病」は、身体上の病の他、生命の病をも
 含みます。生命の病とは、次から次へと新しいものを欲しがる貪り
 の状態や、憎悪の連鎖によって暴力が絶えない瞋りの状態、そして
 その場しのぎの欲望や感情に流され人としての理性が欠如した癡な
 状態を言います。これらのことを「貪瞋癡の三毒」と言います。
  これらの身体上の病、生命の病の一切を治す薬は、法華経しかな
 いということです。
  また、経と仏と行者の三事が揃っているのだから、病を克服でき
 ないはずがないと激励されています。これは、現代の私たちにとっ
 ては、御本尊様と、大聖人のおっしゃられる通りに広布の指揮を執
 ってくださる池田先生と、師弟不二の決意をした本人の生命があれ
 ば、どんな病だって克服できるということです。
  但し、最後の部分で大聖人がおっしゃっているように疑いの心や
 弱い心があれば、祈りは成就しないと仰せです。
  長い人生、病気や悩みがあるのは当り前のことです。しかし、そ
 の時にこそ、御本尊を疑わず、純真な信心を貫くことが、幸福につ
 ながっていくということを教えてくださっている御書です。
  逆境の時にこそ真価が問われるものです。来年は、この法華経の
 良薬を持って、笑顔で胸を張って堂々の前進をしていきましょう。

               2002/12/04(水)  どん兵衛の館にて


座談会御書一覧に戻る